■2009年11月30日(月)21:53
青猫横町31
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起きあがったはたけさんは、もう具合が良くなってしまったみたいで、うみのさんにもう一人分素麺を茹でてもらって食べ始めた。 大根おろしとすりおろした生姜を汁の中にたくさん入れて、ぞろぞろと麺を啜っている。 食べ終わってしまったわたしは縁台の上で、寝そべっているアオの耳をいじっていた。アオの耳は大きくてすべすべで冷たくて触っていると気持ちいい。アオは嫌がってぱたたた、と小刻みに耳を振る。それが面白くてわたしは繰り返しアオの耳を指でつまんだ。 「ぎりぎりまで我慢しないで、さっさと薬を使えばいいのに」 食器を片づけながら、うみのさんが言った。はたけさんが元気になったとたん、小言が始まっている。 「ノドカがいてくれたからよかったけど、いつもそんな訳にはいかないんですからね」 うみのさんの言葉にわたしの名前が出てきたので、背中を向けたままでわたしを耳をそばだてる。 「ノドカがお医者さんを呼んでくれたんですよ」 うみのさんは怒った顔でいうけれど、とても心配しているのが分かる。 「そういえば、イルカ先生、仕事は?」 はたけさんは聞いているのか、いないのか、ちがう話を始めてしまう。 「早退してきたんですよ!あなたが倒れたって聞いたから!」 うみのさんは声を大きくした。わたしはうみのさんに味方してあげたい気持ちになった。 「ノドカがお医者さんを呼びに行ってくれて、お医者さんが式を飛ばしてくれたんです!アカデミーまで!俺は授業の途中で飛んで帰ってきたんですよ!」 顔を赤くして捲し立てるうみのさんに、はたけさんはきょとんとした顔をしている。 「昨夜だって、無理しないでさっさと寝なさいって言ったのに!シーツだって替えないままで−−−」 「イルカ先生、今ここでそんな話しちゃっていいの?」 はたけさんはわたしの顔をちらっと見た。 うみのさんは真っ赤になって「うああああ、もう!」と叫んで、台所へ逃げ込んでしまった。 それから、洗面所の洗濯機から洗濯物を取り出して、どすどすと足音を立てて出てきた。居間を抜けようとするうみのさんの腰に、箸を銜えたはたけさんがすがりついた。 「イルカ先生、怒っちゃイヤ」 「バカ!」 うみのさんははたけさんの口からお箸を取り上げて、ぱしんと卓袱台の上に置いた。 しゃがんだ拍子にはたけさんががっしり抱きついてしまって、うみのさんはしりもちをついた。
--------------------------------------------- イチャイチャしやがって! ところで、夢小説ちゃんと楽しめた方はいらさるんでしょうか? | | |