■2010年03月27日(土)22:36
青猫横町34
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わたしはお盆にのっていたスプーンで炒飯を掬って食べた。 はたけさんは素麺を食べていた箸で炒飯を食べている。おかあさんの炒飯はパラパラなのでお箸では食べにくいと思う。 わたし達が炒飯を食べていると、洗濯物を干し終わったうみのさんが部屋に戻ってきた。 「あれ?どうしたんです、それ?」 うみのさんははたけさんのお皿を覗き込んで訊いた。 「ノドカのお昼ご飯ですよ。ノドカのおかあさんは毎日、お昼ご飯を用意してくれているんです」 あ、とうみのさんは口を開けて、わたしを見た。それから机の上の炒飯のお皿を見た。 「イルカ先生は子供を見るとすぐ、ご飯を食べさせようとしますけど、ノドカにはおかあさんがいるんですからね」 はたけさんがたしなめるように言う。わたしはせっかくうみのさんがご飯を作ってくれたのに気を悪くしてしまうんじゃないかと心配になった。 「そうですね。ノドカにはおかあさんがいて、ちゃんとご飯を用意してくれるんですよね」 うみのさんはくしゃりと笑った。 怒ってはいないみたいだけど、そうしたら今度は、うみのさんはもう一緒にご飯を作って食べてはくれなくなるかもしれないと思ってがっかりした気持ちになった。 おかあさんのご飯はきらいじゃないけど、冷たくなったご飯を一人で食べるのはやっぱりさみしいしおいしくない。 「そうかあ。いいお母さんだなあ」 うみのさんはわたしの気も知らないで、屈み込んでわたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。 「そうですよー。だから俺とノドカはいつもお互いの昼飯を持ち寄って縁側で食べてるんです」 はたけさんが言うと、うみのさんはふっと笑った。 「なんだか鍵っ子同士みたいですね」 「留守番仲間ですもん、俺達」 はたけさんが言うと、うみのさんは腕を伸ばしてはたけさんの頭もくしゃくしゃにした。
--------------------------------------------- お待たせしてすいません。 連休中に何もしてなかったのに拍手が沢山きてて吃驚しました。 は、励まして下さってるんでしょうか…?ありがとうございます(T_T) 状況に慣れてきて時間が作れるようになってきたので、ちょっとずつでも書ける物から書いていこうと思います。 | | |