会えないとなると尚更、会いたくなる。
 カカシは自宅に戻って装備を解きシャワーで長旅の垢を落として、イルカの家に行ってみた。合い鍵をもらっているから中へは入れる。
 だが、部屋にイルカの姿はなかった。
 どこに行ったんだろう。
 奥の寝室まで覗いて完全に留守であることが分かると急に体の力が抜けてしまってイルカのベッドに突っ伏した。布団に顔を突っ込むとイルカの匂いがした。
 安心する。
 ガイがぴんぴんしていたから任務は無事に終わったのだろう。早く帰ってこないかなあ。顔が見たい。
 カカシはそのままうとうとしてしまった。


 はっと目を覚ますと窓の外は既に暗かった。時計を見ると七時を回ったところだ。
 まずい。約束は六時だった。
 カカシはいつもにもましてぼさぼさになった頭でイルカの家を飛び出した。
 さすがに今日の遅刻はまずい。
 カカシは最速で約束の場所へ飛んでいった。少し眠ったおかげで疲れが取れていた。
「おっそーーーい!!!」
 約束の店の前に到着した途端、非難の声があがった。
「やー、悪い。今日は道でいきなり暴漢に襲われてな」
「ハイ、嘘ッ!!」
 お約束の突っ込みも十日ぶりだと新鮮だ。でも嘘じゃないよ。本当に濃ゆい暴漢に襲われたんだ。
「もー。カカシ先生、たまには時間通りに来てくれってばよ」
 ナルトが口を尖らせて不満を漏らす。
「今日は絶対遅刻しないでねっていったのに!」
 サクラも腰に手を当ててプリプリしている。
「まあ、こんなことだろうと思ったがな」
 サスケは相変わらずクールだ。
「悪い、悪い。今日はなんの用事なんだ?」
 カカシは三人の変わらない様子に目を細めて尋ねた。こんな時間から修行もないだろう。約束した時は単独任務を受ける、受けないで揉めていたからあまり考えなかったけれど、何かの相談事か?労働条件の改善とかなら自分じゃなく三代目に言わないとだめだぞ。
 あれこれ考えを巡らせるカカシに三人は向き直ると息を大きく吸った。
「「カカシ先生、誕生日おめでとう!」だってばよ!」
「ハイ?」
 突然、叫ばれてカカシはぽかんと三人の顔を見つめた。叫んだのはナルトとサクラだ。サスケは口の中で何かぶつぶつ言っただけだ。
「今日は私たちが夕ご飯ご馳走します!」
 サクラがにっこり笑った。
「え?」
 呆気にとられるカカシの腕をとってナルトとサクラが店に入る。サスケはそっぽを向いていたがついてきた。



いじらしい。




カカシ編4