短編

月のうさぎ

巨大な洞窟を思わせる薄暗い地下室の板敷きの床にじかに座り込んで、いつものご とく、まったく何時でもどこででもそうなのだ、彼は夢中で本を読んでいた。人の背 丈の倍くらいはありそうな書架に囲まれた一隅、建物の地上に出ている部分に作られ た明り取…