山中いの

#21 アリバイ大蒜

「おやっさん、こいつのニンニク多めに入れちゃって」キバ君の声が聞こえた。「ちょっと、ヒナタが分かってないと思って…」「ニンニクで酒の匂い消すんだよ。日向の親父さんに酒飲んだなんてバレたら殺されるぞ」「殺されはしないだろうが、吊されるくらいは…

#20 オレンジフラワーウォーター

「合コンですか?」本部棟の渡り廊下を歩いているところで声を掛けられた。声を掛けてきたのはさっきまで同じ研修授業を受けていたくのいちの先輩だ。「新しく中忍になった子の顔見せみたいなもんよ。同じ任務に就くこともあるだろうし歳の近い者同士仲良くし…

#9 娘道明寺

「イルカ先生、来ました」声をかけると先生は後姿でモフモフと咳き込んだ。「ああ、サクラ」スチール椅子をくるりと回転させて振り返った片手には小さなピンク色の和菓子が握られている。人を呼び出しておいて何をしているんだ。「これな、大羽先生の差し入れ…