NARUTO

#25 Pressure Cooker

目標まで1メートル50、着火より七分経過、変化無し。イルカは壁に身を隠しながらそっと目標物の様子を見守る。銀色の滑らかな胴体、がっしりとした作りの黒い取っ手、内部から響く低い唸り。期待と恐れでどきどきとイルカの胸は高鳴る。炎に炙られて内部か…

#24 警戒混ぜ御飯

 イルカは混ぜご飯が嫌いだ。好き嫌いのないイルカにとっては珍しい事だ。なにが嫌いって。混ざってるから。別々に食べればいいじゃないかと思う。なんでわざわざ混ぜるんだ。ご飯は白飯にかぎる!真っ白で、ほかほかつやつやと湯気を上げる白い飯。それだけ…

#22 チャパラナイト

今日は土曜日だ。目を開けると、カカシは明け方に帰ってきてベッドに潜り込んだそのままの格好で布団にしがみついていた。任務明けでシャワーも浴びずに眠っていたから、服や髪についた砂埃がシーツの上でじゃりじゃりする。カカシの部屋は土足で出入りする仕…

#21 アリバイ大蒜

「おやっさん、こいつのニンニク多めに入れちゃって」キバ君の声が聞こえた。「ちょっと、ヒナタが分かってないと思って…」「ニンニクで酒の匂い消すんだよ。日向の親父さんに酒飲んだなんてバレたら殺されるぞ」「殺されはしないだろうが、吊されるくらいは…

#20 オレンジフラワーウォーター

「合コンですか?」本部棟の渡り廊下を歩いているところで声を掛けられた。声を掛けてきたのはさっきまで同じ研修授業を受けていたくのいちの先輩だ。「新しく中忍になった子の顔見せみたいなもんよ。同じ任務に就くこともあるだろうし歳の近い者同士仲良くし…

#17 真夜中東坡肉

商店街の中程の赤いビニールの庇が肉屋の目印だ。店先で腕組みをしてイルカは冷蔵ケースの中に並べられた肉の塊を睨んでいた。「豚のバラ肉一キロ」イルカの声に店主がケースから肉の塊を取り出し、上に置かれた緑色の秤に載せた。数グラムオーバーした分をお…

#15 黒髪大吟醸

 黒髪の男というのは、どういう遺伝的素因があるのか知らないが、どことなく艶めいた印象がある。のはなんでだろう。骨格が華奢だから?別に筋骨逞しい黒髪の男がいないわけではないのだが。例えば今年カカシと同じく下忍担当になった同僚の猿飛アスマとか。…