はたけカカシ

#15 黒髪大吟醸

 黒髪の男というのは、どういう遺伝的素因があるのか知らないが、どことなく艶めいた印象がある。のはなんでだろう。骨格が華奢だから?別に筋骨逞しい黒髪の男がいないわけではないのだが。例えば今年カカシと同じく下忍担当になった同僚の猿飛アスマとか。…

#14 街道蕎麦

向こうの席のエロ親父がウザイ。行儀悪く卓に肘を着き、焼き魚をつつきながらカカシは肺の底から空気を吐き出す。とっぷりと暮れた日に火の国の国境近くの宿場で入った飯屋で奥の卓に座った成金臭いオヤジが傍らの、どうやら商売者らしい男をべたべたと触りま…

#12 居酒屋玉子

「玉子焼きかあ」ぼそりと呟いた言葉に、目の前の受付に座った中忍は「え?」と黒い眼を上げて訝しそうな視線をくれた。「ああ、」そうされて口に出して呟いていた事に自分でも気がついた。上忍のくせに我ながら弛んでいる。「ナルトがね、イルカ先生の穴子の…

#11 再びカレー

「どーも」戸口に立った自分を見て、イルカ先生は驚いていた。あれ?もしかして、本当に来るとは思っていなかったのだろうか。場違いな空気を感じてカカシの首が斜めになる。でも来なさいって言ったのはそっちだ。あんな真剣な眼をしたくせに。だからカカシは…

#10 亡者の塩

切り裂かれた皮袋から白い細かな粒が零れ落ちる。頭上から狭い渓谷沿いの道を進む荷馬車の一隊に矢が降り注いだ。敵のチャクラを感じると同時に足元の地面から土塊が突き上げ荷車が大きく傾いだ。馬が嘶き棒立ちとなる。反対側は川だ。積荷を落とすまいと味方…

#7 中忍レトルト

  乾物屋の店先でイルカは金色の缶詰を手にとって眺めていた。最高級の猫缶、通称・金缶。イルカの胸に一つの疑念がこびりついている。カカシの家のテーブルの上に積んであった猫缶。あの時、ぽぅっと頬を赤らめて視線を逸らしたカカシの珍しい様…

#6 コヨーテテキーラ

彼らの飲み会に飛び入りする羽目になったのはたまたまだった。仕事が終わって一日分の任務報告書を整理していたら火影に伝令を頼まれた。上忍待機室を覗くと探し人であるアスマ上忍はまだ残っていた。夕日紅、はたけカカシ、 他に数名の上忍達もいた。紅が良…

#2 秘伝チョコ

「なんだぁ、おまえら?」玄関を開けたイルカは頓狂な声を上げた。泥だらけの七斑一同が勢揃いしているのだから無理ない。「イルカ先生、カレー作って!」「はぁ?」カレーカレーと連呼するナルトから視線を上げて、カカシへ物問いたげな顔を向ける。「イルカ…